皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2023年度は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化の一方で、地政学リスクの不確実性、欧米金利の高止まりや円安環境、また本邦マイナス金利の解除等、当社を取り巻く経営環境が大きく変化しました。こうした環境においても、顧客部門を中心に稼ぐ力が向上したことにより、MUFGユニオンバンク売却による減益影響がある中でも、本業の利益である業務純益が前年度比2,494億円の増加となったことを主因に、親会社株主純利益が前年度比3,742億円増加の1兆4,907億円となり、MUFG発足以来の最高益を更新しました。前中期経営計画で掲げた「安定的に1兆円以上の利益計上」という目標を3年連続で達成しました。また、「利益」、「経費」、及び「リスクアセット」の3つを意識した運営を徹底したことで、ROEは8.5%まで上昇、最大のコミットメントであるROE目標7.5%を達成しました。
1株当たり年間配当金は、期末配当を公表通り20.5円とし、中間配当とあわせ、前年度比9円増配の41円とします。また、自己株式取得は4,000億円を実施しました。2024年度の配当予想は、2年連続で9円増配となる年間50円としました。配当性向は40%程度となります。加えて、総額1,000億円を上限とする自己株式取得を決議しました。
今年度から始まる新中期経営計画における3年間は、MUFG のビジネスを取り巻く環境が大きく変わる機会を捉えて、「成長」を取りにいく3年間と位置付けます。成長戦略を進化させるとともに、社会課題解決への貢献を中計の柱に据え、またそれを支える企業変革も加速させてまいります。
このコンセプトを支える3本柱として、「成長戦略の進化~成長をつかむ」、「社会課題の解決~未来につなぐ」、「企業変革の加速~会社がかわる」を掲げています。
「成長戦略の進化」では、MUFGの戦略を「商品×チャネル」の4象限で検討した上で、「成長をつかむ」ための7つの成長戦略を策定しました。既存のビジネスモデルをさらに強靭化するとともに、新しい商品・サービスの提供や新しいチャネルを通じたお客さまとの接点の拡大による成長をめざします。
また「社会課題の解決」は、その貢献なくしては、経済的な成長を持続的に追い求めることはできません。成果にもこだわりながら、取り組みを一段と進化させていきます。
「企業変革の加速」では、これまで取り組んできたカルチャー改革をさらに前進させるとともに、MUFG Wayの共有すべき価値観に「スピード」を加え、人材、システム、及びAIといった経営基盤の強化にも取り組みます。これまで以上にスピードを重視した経営を実践することで、お客さまから信頼され、選ばれ続ける存在となることをめざします。
財務面ではROEを重視した運営を継続し、2026年度目標を9%程度とします。営業純益は、2023年度比で30%増益となる2.1兆円以上、親会社株主純利益は、1.6兆円以上をめざします。
分断の時代の中で、私たちMUFGが「つなぐ」存在となることで、パーパスである「世界が進むチカラになる。」を実現し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えてまいります。今後とも皆さまのご理解と一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2024年5月
取締役
代表執行役社長 グループCEO
亀澤 宏規