自社排出のネットゼロ
2030年までの自社GHG排出量ネットゼロに向けた取り組み
MUFGは、GHGを削減して地球温暖化の防止に貢献するため、2030年までに当社自らのGHG排出量(注1)のネットゼロをめざし、省エネルギー(省エネ)の取り組みに加え、使用電力の再生可能エネルギー(再エネ)化、電気自動車(EV)への切り替え等に取り組んでいます。また、再エネ電源の増加に直接的に貢献するため、追加性のある生グリーン電力(注2)の新設・導入の取り組みも進めています。
海外拠点では、国内の各種施策を通じたノウハウを蓄積しながら、各国の脱炭素化促進に向けた政策や制度の整備状況も考慮した上で、対応の具体化を加速します。
- GHG プロトコルにおけるScope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)およびScope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)
- 風力、太陽光などの再エネにより発電されたグリーン電力そのものを、発電所から需要者に直接送るというもの。需要者はグリーン電力を「みなし」ではなく、自身が使用する電力としてまた直接使用することができる
自社排出削減のプログレス
MUFGは2022年度に、国内全連結子会社の自社契約電力100%再エネ化を達成したほか、2030年までの自社GHG排出量ネットゼロの実現に向けた取り組みを加速させるため、中間目標を設定しました。
<中間目標>
・2025年度:国内GHG排出量を2020年度比で3分の2削減
・2026年度:グループ・グローバルGHG排出量を2020年度比で50%削減
2022年度のGHG排出量は、189千tCO2eと前年度実績(232千tCO2e)から43千tCO2e(19%)減少し、2025年度の中間目標を前倒しで達成しました。なお、MUFGは2022年度のGHG排出量算定結果に対し第三者の限定的保証を取得しています。
また、MUFGおよび銀行、信託、証券、ニコス、アコムの主要6社(国内)のScope3(注)(カテゴリー1~14)のGHG排出量を初めて算定しました。この結果、2022年度のScope3(カテゴリー1~14)は1,319千tCO2eとなりました。
- Scope1,Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
コーポレートPPAによる電力の再エネ化の取り組み
MUFGは、2022年7月、オフサイトコーポレートPPA(注3)による、太陽光発電の再エネ電力を約40拠点に導入しました。MUFGは、約2,000kWの太陽光発電所の新設段階から関与し、再エネ由来の電力を長期間にわたり購入します。これに続き、2022年9月にMUFGは約2,000kWの太陽光発電所を新設し、発電したすべての再エネ電力をデータセンターに導入しました。
こうした取り組みを通じて、国内における 追加性(注4)のある再エネ電源の増加に直接的な貢献をしています。今後も、こうした取り組みを推進し、再エネの普及に貢献します。
- PPAはPower Purchase Agreementの略。発電事業者と電力の需要家が、事前に合意した価格および期間における再エネ電力の売買契約を締結し、需要地ではないオフサイトに導入された再エネ電源で発電された再エネ電力を、一般の電力系統を介して需要家へ供給する契約方式のこと
- 再エネの導入によって、新たな再エネの普及拡大に寄与すること
営業車のカーボンニュートラル化の取り組み
省エネの取り組み
MUFGは、省エネルギー法や地球温暖化対策推進法を支持し、省エネルギー目標の達成状況、温室効果ガス排出量の報告書を提出するとともに、さまざまな省エネの取り組みを実施・推進しています。
銀行、信託、アコムでは、省エネルギー法の事業者クラス分け評価制度において、2022年度提出分(2021年度実績)の結果がSクラス(優良事業者)となりました。引き続き、各関係法令への対応のみならず、2030年までのネットゼロに向けて、省エネの取り組みを推進していきます。
省エネの具体的な取り組み
- 設備面では、照明のLED化や人感センサーによる自動点灯、空調設備などの入替による高効率化等を実施しています。
- 運用面では、空調設備の稼働時間の設定(例:本館では19時までの稼働)、エレベーターの稼働台数の時間帯調整、ブラインドの閉鎖(外気温30℃時)、共用エリアの照明の照度等調整、夏季・冬季の空調設定温度の適正化(政府推奨温度などを基本とした運用推進)等を実施しています。
- また、ニコスやアコムでは、各種取り組みの定期的な社内発信や研修を通じた社内の環境啓発活動に取り組んでいます。
建物における省エネの取り組み
- MUFGでは、2023年6月に竣工したMUFG PARK内のパークオフィスおよびライブラリーにおいて、基準比▲50%以上の省エネを実現し、MUFG初の「ZEB Ready(注)」認証を取得しました。
- 建物用途・規模等により定められる基準値に対して、50%以上の一次エネルギー消費量削減を達成した建物に付与される認証
- また、銀行の本部ビルでは、2018年度に大阪ビル、2021年度に名古屋ビルの建て替えを行いました。両ビルは、全館LED照明や断熱効果を高めたガラス(Low-Eガラス)、雨水を有効活用できる設備等を導入するなど環境に配慮した建築物となっており、建築物の環境性能を評価するCASBEE(注)において、大阪ビルはCASBEE大阪みらいのSランク、名古屋ビルはCASBEE名古屋のSランクと、それぞれ最高ランクを取得しています。
- 「CASBEE」は、建築物の環境性能を評価・格付けする手法で、省エネや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステム
- 今後は、MUFGおよび銀行の本館ビルを建替え、脱炭素・省エネ、資源循環などの工夫を取り入れた「MUFG本館」の建設を予定しています。
- その他の建替物件等においても、ZEBやCASBEE認証取得など環境に配慮した取り組みを推進していきます。
循環型社会の形成に向けた取り組み
廃棄物のリサイクル
国内の拠点では、廃棄物のリサイクル率を90% 以上にすることを目標に定め、資源ごみを分別出来るゴミステーションを設置し、分別回収ルール、分別事例を明示することで分別強化を促しています。銀行では、2022年度本部ビル(東京、名古屋、大阪)における紙類リサイクル率100%を達成しています。本部ビル(東京)では厨房ごみのリサイクルも行い、2022年度の廃棄物リサイクル率は90%超(94.9%)となりました。他本部ビルも含め、引き続き廃棄物のリサイクル率向上をめざします。
海外では、タイのクルンシィ(アユタヤ銀行)において、2018年から「Krungsri Zero Waste」プロジェクトを推進し、廃棄物問題に対する意識を高めるための従業員研修や廃棄物の分別活動等を実施し、廃棄物のリデュースやリサイクル等に取り組んでいます。
紙のリデュース・リユース・リサイクル
森林資源を有効に活用するため、紙の使用量の削減(リデュース)やリユース、リサイクルを推進しています。
紙の使用量削減に向けて、印刷枚数の見える化、スマートワーク推進(オンライン会議システムの積極的活用、モニターへの資料投影等)、契約書の電子化、通帳・目論見書・ご利用明細等お客さまへの配布物の電子化などに取り組んでいます。
また、銀行の本館と池尻ビルでは試行的に、紙をリサイクルしトイレットペーパーとして各ビルで再利用する社内循環の取り組みを実施しています。
紙のリサイクルについては、2022年度に銀行の本部ビル(東京、大阪、名古屋)において、リサイクル率100%を達成しました。
プラスチックのリデュース・リユース・リサイクル+Renewable(リニューアブル)
MUFGは、プラスチックを巡る海洋・海洋資源等の環境問題への対応として、プラスチックのリデュース・リユース・リサイクル(3R)+Renewable(以下、リニューアブル)(注)の取り組みを推進しています。
従業員向けのテナントやカフェにおける化石資源由来のストロー配布廃止の推奨や、カードレス取引サービスの導入など、プラスチック使用量の低減に向けた活動を行っています。また、プラスチック製等の使用済み文房具の収集・再配布等のリユース活動にも取り組み、資源の効率的な活用に取り組んでいます。
リサイクルの取り組みでは、ペットボトル専用ゴミ箱を設置することで分別実施によるリサイクル促進を行い、2022年度には銀行の本部ビル(東京、名古屋、大阪)においてペットボトルリサイクル率100%を達成しました。また、ボトルtoボトルの水平リサイクルへの転換も進めており、銀行の本部ビル(名古屋)では水平リサイクル率100%を達成しています。引き続き水平リサイクルを広く推進していきます。
リニューアブルの取り組みとしては、ニコスでは会員情報誌のラッピングフィルムにバイオマスプラスチックを採用するなど、プラスチックの再生可能資源への代替を進めています。
- Renewable(リニューアブル)は、紙や植物由来プラスチック等の再生可能資源への代替
水資源に係る取り組み
MUFGは、国内外で水資源の有効活用による節水に取り組んでいます。
国内では、一部の本部ビルに中水処理設備・雨水利用設備を導入し、水の再利用や雨水の利用を推進しています。
海外では、水ストレスの高い国にある子会社で水使用量の削減に取り組んでいます。クルンシィ(注)では本社で廃水再利用等により水道水からの取水量を削減、プルンチットオフィスで節水装置導入により水使用量を約40%削減しました。また、インドネシアのダナモン銀行では衛生的な水インフラを5地域に導入しました。
引き続き水資源の有効活用に取り組みます。
- クルンシィでは、環境経営と資源保全を促進・支援するため「環境・資源・労働衛生・安全のためのポリシー」を公表し、「水の消費量」を含む遵守すべき11の指標を設定
- <水の消費量>
- ・水資源の適切かつ効率的な使い方について共有
- ・適切な利用時間を規定(例:植物への水やり、建物前の清掃等)
- ・節水機能等を備えた環境に優しい衛生陶器の設置
- ・廃水の再利用ガイドラインを制定(例:廃水処理基準、廃水の再利用)
- ・毎月の水使用量の記録